続いては岐阜城と月の撮影を紹介します。
月と岐阜城を絡めた写真はSNSでも人気で、特に大きな満月と絡めた岐阜城は合成写真のようにも見えます。
筆者も過去に何度かトライしてましたがやっと撮影できたので紹介したいと思います。
金華山の山頂にそびえる岐阜城は斎藤道三の居城でありもとの名前は「稲葉山城」でした。それが織田信長によって地名が岐阜に変えられ、城の名前も「岐阜城」と改められたそうです。
しかし関ヶ原の戦いの後、岐阜城は廃城となってしまいます。その後、明治43年に市民の手に取って復興されるも失火により焼失し、現在の城は昭和31年に復興された鉄筋コンクリート造りだそうです。
今回私が撮影してきたのは、こちらの伊自良川(いじらがわ)の河川敷です。
河川敷には十分なスペースがあり場所取りなど必要なく撮影することができます。
日の出方角マップで月の出の方角を表すとこのようになります。
岐阜城から直線距離で約6.5kmとかなりの長距離になります。
それでは今回の撮れた写真を紹介していきます。
撮影日は2/27(土)で月例は15.3歳、月の出は17:39分、日没が17:46分です。
使用したレンズは500mmF4にテレコンTC-14をを付けて700mmの画角です。
出てきましたー!(周囲がざわつきます(笑)
撮影時刻は17:49分なので、月の出時刻17:39からたったの10分後です。
時刻は17:52分、無事にお城にかぶってくれました。
前の写真からたったの3分後です。
これを約2倍(1400mm相当)にクロップするとこのような画角です。
更にトリミングしてみます。これで約2.5倍クロップ(1750mm相当)です。
画像サイズは770万画素(3395*2283)まで落ちてしまいましたが、なんとか見れるのではないでしょうか。
ホワイトバランスを青に調整してみました。
またシャッター速度は1/100秒で低速限界を設定しました。もっと遅くても大丈夫なようですが、心配性なので。。
また今回の撮影では、露出の最適条件が分からないので±1EVのオートブラケット撮影(±の異なる露出での連続撮影)で保険を掛けておりました。
そのオートブラケット撮影の結果の3枚の画像でHDR合成してみました。(使用したソフトはPhotoMatix)
高速で連続でシャッターを切っているので、月の移動によるゴーストなど問題はありませんでした。
※HDRも合成じゃないか、とかいうご指摘は置いておいてくださいね。
Photomatixには様々な現像モードがあり、現像を楽しむことができます。
月はあっという間動いていき、そして遂にその時はやってきました。
月が岐阜城の天頂にきました!
撮影時刻は17:53分です。先のカットからたったの1分後です。。
トリミングしてみます。
ホワイトバランスを青に寄せてみます。
現像時の注意点としては、月のクレーターの露出にも気を付けました。
上の写真では「おへそ」のようなクレーター(名前はティコ)が見えませんが、下の写真ではHDR合成でよりハッキリと見えるように現像しています。
このおへそのクレーターが見えることでより月っぽさが増しますよね。
ホワイトバランスを青に寄せると、月のアンバー色が下がることになり、クレーターがよりハッキリ見えます。
こちらはPhotoMatixのモード違いです。
また今回の撮影では、300mmの広角レンズ?でもインターバル撮影しておりましたのでそちらも紹介します。
最初に30秒置きにインターバル撮影写真をGIF動画にしてみましたので、ご覧ください。
GIF動画の作成方法は過去記事を参照してください。
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神秘的な光芒のカーテン、岐阜県山県市の円原川の伏流水(GIF動画の作り方)
続いては、岐阜県は山県市の円原川(えんばらがわ)の伏流水を紹介します。 円原川は岐阜県の山県市にある川のような伏流水です。 伏流水(ふくりゅうすい)とは、川などを流れる水がいったん地下に潜ることだそう ...
こちらをPhotoshopにて比較明合成した写真がこちら。
先のインターバル撮影の25枚の中から、月が重ならない写真を6枚を抜粋して合成してみました。
月の赤みがかった色が気に入ってます。
比較明合成の結果を経て意図せずこのようになりましたが、やはりニコンの色だと思います。
更にトリミングしてみます。
縦構図にトリミングしてみました。
比較明合成に関しては、簡単に方法を紹介します。Lightroomから合成したい対象の写真をCtrボタンで複数画像選択した状態で、右クリックしてPhotoshopでレイヤーとして開くを選択します。Photoshopが立ち上がり、右側の赤枠のようにレイヤーとして表示されます。
次に1番上のレイヤーの赤枠の分を「通常」→「比較(明)」に変更すると、下の絵のように1枚目と2枚目のレイヤーが比較明合成されます。
これをレイヤー層毎に行います。(最後のレイヤーはその下にレイヤーがありませんので設定は不要です)
以上で今回の撮影した写真の紹介を終わります。
撮影場所、条件に関して
岐阜城と月の撮影地で有名なのは長良川の河川敷ですが、岐阜城までの距離が約1.5kmと近いため、撮影に関していくつか注意点があると思いましたので、メリット・デメリットに整理してみました。
デメリット
- 金華山が近く仰角が高いため、月が金華山を越えるのに時間が掛かり、(月と城の)明暗差の少ないマジックアワーでの撮影条件が限られる。
- 金華山が大きい為、月が岐阜城の高さに来る時間・ルートが予想が困難。
- 月が城に対して相対的に小さく、絵的に迫力が出にくい。
メリット
- 超望遠レンズが不要
- 1日で観測位置の変化が小さい。(月の出の方位角の変化に対して、観測位置(円弧)変化小)
特にデメリット1つ目の、「露出差」は致命的ですので、以下に失敗事例を載せておきます。
このように暗い城に露出を合わせると月が白飛びます。
反対に月に露出を合わせると、城が暗くなります。RAWで補正してもこの程度です。(実際は城は真っ暗)
この失敗事例は、撮影時期が6月と夏至に近く、月の出の方位が約120°(最も南側)から月が昇ってくる時期である為、河川敷から岐阜城への仰角が高くなってしまった事例です。
また撮影時刻も20:44分と当日の月の出時刻が19:10分ですから、金華山を超えるのに約1時間30分も掛かり、完全に日が落ちてしまった時間帯です。
ですので、満月であれば何時でも撮影の好条件という訳ではないことを学びましたので、記載しておきます。
この撮影日の方角マップを載せておきます。(黄色の線が20時の月の方角です)
このようなメリット・デメリットから、もし超望遠レンズをお持ちでしたら、伊自良川の河川敷からマジックアワーでの撮影をオススメします。
ただし、伊自良川沿いには広い駐車場はありませんので、マナーを守って撮影を楽しんでください。
※撮影日:2021年2月27日
※YouTubeにも動画を投稿しています、チャンネルはこちら。